カテゴリー「書籍・雑誌」の20件の記事

2011年6月 1日 (水)

本を読む喜び…

 俳優の児玉清さんが先日亡くなられた。児玉さんと言えば「アタックチャンス!」だが、私の中ではNHK-BSの番組「週間ブックレビュー」である。亡くなった時のワイドショーの芸能人のコメントも華丸大吉ではなく、中江有里だろ!と思ったんだけど。

 そのブックレビューで児玉さんの追悼番組が放送された。だけど、いかにも追悼…という感じはいっさい無し、悲しい音楽も無く、民放がやりそうなお涙ちょうだい的な演出もなかったのが、すごく良かった。司会は藤沢周 と中江有里で、今までの放送の中での児玉さん名場面集だった。
 本がとにかく大好きな児玉さん。好きな本について熱く語る姿はおなじみ。大好きな作家を訪ねて海外までロケに行ったり、大江健三郎 氏にインタビューしてるんだけども、額にすごい汗かいてるのが印象的でした。そんな児玉さんについてまた楽しそうに語る藤沢さんと有里ちゃんが、ほのぼのしていて暖かい気持ちになりました。ダンディーな児玉さんが喜びそうな上品な番組になってたと思う。

 「週間ブックレビュー」では、時々色んな所で公開放送をやるんだけど、何を隠そう、この私も収録を見に行った事があります。収録前に児玉さん自らステージに立たれてごあいさつされました。さりげなく、「アタックチャンス!」もやってくれて、場内の雰囲気は一気に暖まります。その時は、いしいしんじ 氏、女優の斉藤慶子さん、玉木正之 氏というメンバー。特集に重松清 氏と、なかなかの豪華キャストです。いつものスタジオと違ってお客さんがいるので、テレビとはまた違ったものになります。合評コーナーは当然お客さんへ向けてなされるので「どうですか?お客さん!」のノリです。実際最後にどの本が一番読みたくなったか、客席の拍手で決められます。このときはダントツでいしい氏の圧勝だったんだけど、あれは絶対「ドヤ!」って感じだったと思います。確かにいしいさんのを読みたくなった!ホントにあれは一つの芸ですね。玉木さんも結構心ひかれたけど。
 重松さんの特集の時も、会場から直接質問できたりして、とても面白かった。重松さんのお話や、児玉・中江さんとのやりとりも生で見れて感動!

 「ブックレビュー」見ると出てきた本をすぐ読みたくなってしまいます。全部図書館にあればいいのだけど…。でも、たまに図書館に新刊で番組でやった本が入ってたりすると、あ、誰かがリクエストしたんだ!と思います。あまりマニアックな本はムリだけど…。

 児玉さんがメチャメチャ推してた本、スティーグ・ラーソン の「ミレニアム」、映画化されましたね。本は読んでないけど映画はすごく面白かった。ハリウッド的なCG映像なんか全く無しだけど、やっぱりストーリーとキャラの魅力で3部作一気に見れた!ヨーロッパで作られてるから知らない俳優ばかりだけど、今度はデビット・フィンチャーがリメイクするらしいので、楽しみです。

 本を読む喜び…、知らない事を知る喜び、ただただ物語に没頭し、体験したことのない世界を味わう喜び。全国の本が好きな人たちの気持ちを体現してた児玉さん。みんなそんな児玉さんが好きだった…はず!これからもその思いを絶やさず番組を続けてほしいデス。
 

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2010年7月20日 (火)

「今日、カレーとシチューどっちがいい?」つれづれノート18を読む

 最近ハイペースで出される「つれづれノート 」。今回は「今日、カレーとシチューどっちがいい?  つれづれノート (18) 」ってタイトル。出るのが早いうえに、分厚い!
 前作もそうだったけど、本人はずっと沈んでる…と書いているが、またまた色んなことやって結構パワフルな気がする。

 でも、なぜか読みたくない箇所がある。それは虫くんとのメールのやりとり。もういいじゃん!かみ合わないんでしょ!ほっとけばいいじゃん!と思ってしまう。前作でそう思ったのにまた今回さらにこれにページがさかれていて、なんなのだ?と考えたてたら、「そっか!銀色さん虫くんのことが好きなんだ!」ってことに気づいた。だから他人の恋愛話をずっと聞かされてる感じで嫌だったのだ!だけどたぶん虫くんはその気ないし、セドナのヒーラーに言われた、今度出会う運命の人は全然別のタイプだし、虫くんはかなり若そうだし(勝手なイメージ)ダメ出ししたくなるタイプだし(そこが好きなタイプで)、ってごめんなさい!勝手なこと書いて。だいたい「私と同じ故郷から来た瞳をしている…」って完全に口説き文句でしょ。ってツイッターで(始めたそうです)直接言ってみたい衝動にかられるけど(やんないけどねぇ〜)。公式ホームページもできたようです。

 全部勝手な読みです、すいません。でも今回の「つれづれ」は、「つれづれノート」をずっと読みつづけて来て良かった〜と思わせてもらえたところもあって、それはまた別の機会に…。

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2010年6月11日 (金)

「自閉症」の子どもたちと考えてきたこと

 「自閉症」の子どもたちと考えてきたこと 、という本に出会う。作者の佐藤幹夫 さんは、養護学校の先生を長年されていた、ということで、その経験から得た内容で、私のように「自閉症」の子を持つ親の感覚にすごくフィットする。
 何故「自閉症」の子供はこんな行動をしてしまうのか?という疑問に長年子供たちと接してきた経験から、それはこういう理由なんじゃないか?とわかりやすく答えてくれる。もちろん、ほとんどの子たちが言葉をあまり持たないので、その子に聞いてみたわけではない。でも、こう考えると納得がいく、というのが、私にもすごく共感が持てるのだ。
 例えば、常同行動やこだわりはどういうことで起こるのか?それは、ものすごく緊張しているか、逆にものすごく弛緩している(暇をもてあましている)時のどっちかだ、と言う。そう思ってよークンを見ていたら、以前はよく、側溝などに石をひたすら落とす(彼の常同行動)のが大好きだったのだけど、最近はあまりしなくなっていた。だけど、4月に入って急に朝、園からお迎えの車が来るのだが、その車に乗る前にまたそれをするようになった。そういうのを見ると何だか成長していたのが、逆戻りしたように感じてちょっと不安になるのだが…。だけど、私と一緒に親子通園する時はそれをしないということに気づいた。てことは、やっぱり一人で行く時は、緊張があるのだろうか?すんなり車に乗っているように見えて実はそういうことで表現しているのかな?と。そう思うと何だ!すごく彼なりに頑張っているんだ!と思えて何だかいじましく思えてくる。4月に入って色んなことが変わった。クラスが変って一緒に過ごすメンバーが変わり、先生も変わった。靴箱や荷物を置く場所もマークも変わった。そういう変化に対応すぐ適応できるかな?と心配したけど、割とすぐ慣れたみたいでびっくりしたんだけど、実は平気になったのではなく、そういう行動をすることで自分で自分の気持を落ち着けているのかな…と思う。以前ならギャーっと泣き叫んでいたけど、表現が変わったのだ。これはあくまでも、私の勝手な解釈だけど。

 佐藤さんは、そういう行動についてこう解釈している。誰だって普通の人だって緊張したり、暇なときにしてしまうクセがある。思わず爪を噛んじゃったり、貧乏ゆすりしたり。「自閉症」の子は予定外の行動が苦手だけど、普通の人だって急な予定変更にイライラしてしまうことがある、と。そういうのが極まった行動になってしまうのが、こだわりや常同行動なのではないか?そもそも、障害者と普通の人とは全く別の生き物なのではなく、ひと続きの同じ線上にいるのではないか、ということを書いている。私も、というか障害のある人を家族に持つ人はだいたいそう思うと思うんだけど、障害者である前に、もうすでにただの一人の人間なんだよね。でも、どうしても障害者と接する機会がない生活を送っていると、ああ、大変な人なんだ…と思ってしまう。自分だってそう、子供に障害があるとわかるまでわからなかった。自分の子供以外の障害者と接するのは内心怖いと思ってた。

 それって、普通に子供がいる人といない人の間にもそういう溝(大げさに言えば)のようなものがある。子供ができると独身の友達からはやっぱり「大変ね〜」なんて言われるし。大して大変でもないんだけどね。そりゃ大変なこともあるけど、そのぶん楽しいこともいっぱいある。そんなものだ。だけど、子供を持ってみないと絶対にわからない。想像はできるけど。(独身には独身の大変さがある!)
 だから、私も障害のある子を育てているけど、そりゃ大変なことはある。だけど、それを不幸だと思ったことはないし、楽しいこともあって、正直面白いと思うこともある。人間の多様さを垣間見れるというか、みんな自分と同じものを見てると思ってるけど、本当に人それぞれ世界の見え方は違うんだな…と思い知らされることとか。

 話がそれて来た気がするけど、そういう障害のある子を持つ親の気持ちがよくわかっていらっしゃるようで、めったなことは書けないぞ、とわかってすごく慎重に言葉を選んで書かれている。だから、今まで読んだ自閉症についての本の中では結構画期的な感じがした。それはまた最後の方でその理由がわかるのだけど…。

 最初の方に書かれている、障害者と老人や赤ちゃんと何が違うのか?という問いに全てがこめられている。家族の中に自然に障害のある人がいるように、社会の中にも自然にいて当たり前の世の中になればいいな、と思う。それが一番の支援じゃないかな。

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2009年7月17日 (金)

「我、自閉症に生まれて」

 自閉症者が自身の体験を書いた本、と言えばドナ・ウィリアムズの「自閉症だったわたしへ 」が有名だ。私が自閉症に全くの興味を持ってなかった頃でも、題名だけは聞き覚えがあった。もちろん、よークンが自閉症かも?と思った時すぐに手に取ったのはこの本。確かに、ドナの体験は、自閉症の人だけではなく、定形発達の若い人にも自分とは何か?という成長期に訪れる疑問に共通するものがあると思う。だから、広く世界に受け入れられたのだ。

 テンプル・グランディンの「我、自閉症に生まれて」は、それより先に出版されていたようだが、私は最近になってこの人の存在に気付いた。タイトルを比べてもわかるように、ドナの方はいかにノーマルへ近づくか、という修行かと思える程の飽くなき挑戦を綴っているが、テンプル・グランディンは自閉症である自分を全面的に肯定して行く物語だ。

 彼女は、アメリカの畜産物取扱システム会社の社長で、全米の3分の1の食用牛が彼女が設計した機具で処理されている。彼女がその仕事を選んだのは、自閉症であったことに深く関係している。自分の独特の感覚を矯正するのではなく、それを活かして自分の天職を見つけたのだ。

 その道のりは、自閉症であるがゆえ厳しいものだったのだろうけど、母親や学校の先生達など、すごく周りの人たちのサポートが良くて、普通に考えたらおかしいと思われることでも、彼女のことを信じて色んなアドヴァイスをしてくれている。特に、このお母さんはすごい!お母さんの日記や精神科医へ宛てた手紙なども出て来るが、幼少期の手におえなさも伝わって来るが、娘のことをよく見て分析し、冷静に「ノーマルではない」ということを受け止めつつ、良い面を懸命に引き出そうとしている。「…自分の違いを誇りに思いなさい。人の世に貢献した人物は皆、どこか違っていて、その人生を孤高に生きました。」と、書いている。そして、テンプルはその通りに生きている。

 そういう生き方を、さらに追求し、自分以外の自閉症者について彼女なりに研究した本が、第二弾というべき「自閉症の才能開発―自閉症と天才をつなぐ環 」だ。こちらは、自分の特徴を含め、他の自閉症者や、それに関する研究を調査し、自閉症者の本当の姿を伝えてくれる。サヴァン症候群や、アインシュタインの話が出て来るけど、やっぱり天才と自閉症は紙一重なんだな、と思わせる。健常者の場合、脳の機能をバランス良く発揮する為に、個々の機能はある程度に抑えられているが、自閉症は一部は突出した能力を示すが、一部の機能はすごく弱い。それが、本当に人それぞれなんだけど。何かがものすごく得意、ということは他のことはてんでダメっていうのは、脳の作りがそうなっているのだ。

 さらに感動したのは、最後の章で、自身の宗教観についてふれている点。彼女は、プロテスタントの家庭で育ちながら、科学に対する追求を通して、次第にスピリチャルな概念に近づいてゆく。さらに、屠畜という仕事に関わる中で、宇宙と一体となるような経験をする。

 彼女の本は、このように自閉症者の立場から、自閉症について専門性の高い考察を示すとともに、自閉症者にも深い精神生活があることを教えてくれ、私のような自閉症児の親に、大きな希望と励ましを与えてくれる。すべての自閉症者が天才的能力を示すわけではないけれど、内面は普通の人と同じように豊かだと確信をもたらしてくれる。

 彼女は、輪廻転生を信じるが、生まれ変わってもまた、この自分に生まれたいと言っている。うちの子にも、自分を肯定する人生を送ってほしいな…。それには、やはり私たち周りのサポートが大事だな…。

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2009年6月24日 (水)

石油!

 「石油! 」って、すごいタイトル。まぁ、邦題なのだが。その小説アプトン・シンクレアの「OIL!」は、去年のアカデミー賞でダニエル・デイ・ルイスが主演男優賞をとった「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド 」の原作。2段組でかなりの分厚さだけど、映画を見て興味があったのと表紙のデザインとで読み始めたら、面白くてやめられなくなってしまった!

 映画はダニエル・デイ・ルイス扮するお父さんが主人公で、石油を手にすることでどこまでも欲望のままに堕ちて行く物語。見てるうちに、こういう人もいるのかも、と思った。あまりにも欲望を追求するのに躊躇がないので、この人はこれが生き甲斐なのだ、と。ポール・トーマス・アンダーソン監督の描き方か。まあ、人を殺めてはいけませんけど。

 それとは違って原作の方は、息子が主人公でお互いを思い合う仲の良い親子として描かれる。前半はだいたい映画と同じだが、息子であるバニーが成長するにつれ、ポールとの出会いも機に、「お父さん」の仕事や、社会に疑問を持ち始める。労働運動に傾倒していくポールの高潔な魂に触れ、崇拝しながらも、ブルジョワの息子という位置から逃れられないお坊ちゃんバニー。

 80年ぶりの復刊!ということだが、これを読むと柴田元幸さんが「これをIT業界に置き換えれば…」と解説に書いているけど、今と何が変わったのだろうか?と思う。当時は、石油を見つけたもんの勝ち!世界は石油という血によって動いている。石油があるということは、こういうことなのね?そりゃ、戦争負けるわ。ハリウッド映画がヨーロッパ中をプロモーションにまわる様子なんかも描かれているが、それも今と同じ。世界アメリカ化計画は、もうここから始まってだんだ。セレブな生活におぼれるバニーのお姉さんなんか、パリス・ヒルトン?アメリカって、80年前からこうだったんだ…。

 ストーリー展開も飽きさせないし、そういう、その頃のアメリカの様子もいきいきと表現されていて面白い。キャラもみんな立ってるし、労働者対経営者の話だけど、一方が悪いような描き方はせず、色んな手を使って自分の利益を拡大しようとするお父さんやその仲間達も、ちょっと豪快さも感じるようなキャラだったりする。

 とにかく、連ドラ見てるような面白さ!もう、なってるかな…。

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2009年6月22日 (月)

キャッチャー・イン・ザ・ライ

 永遠不滅の青春小説、「ライ麦畑でつかまえて 」を久々に読んでみる。もちろん村上訳版、「キャッチャー・イン・ザ・ライ 」。読みたいとずっと思ってたけど、安くbook offに出てから…と我慢してた。高校生の頃読んだけど、そこまで心に残ってなかった。(これを読むきっかけは、もちろん村上春樹 。)しかし、今読んでみると、やっぱりキュンとくるじゃないか!読み進むうちに、何だっけこの感じ…。どこかでこんな男の子に出会ったような…、あっ!小沢健二 クンの歌に出てくる男の子だ!さすが、柴田ゼミ

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2009年6月 1日 (月)

とべ! ちいさいプロペラき

 週に1度、幼稚園でお隣にある図書館で本を借りることになっているらしい。先週アニジャが「とべ! ちいさいプロペラき」という絵本を借りて来た。本人は他に借りたい本があったらしく、不服そうだったが、いつものように寝る前にこの本を読んであげた。

 舞台は飛行場。お話は、小さなプロペラ機が初飛行を待っているところから始まる。そこへジャンボジェット機がやってくる。そこでからかわれたりして、それでも負けない!みたいな話なのかな…なんて思ったらそうじゃない。何の予備知識もなく読み始めたが、優しさがじわっとくるすごくいいお話なのだ!

 また、絵がよくて、その絵は山本 忠敬さんが描かれていて、うちにも山本さんの絵本の「のろまなローラー」があるのであっ!と思った。それで気付いたけど、この人は乗り物の絵を主に描く人だったのだ。山本さんの描く乗り物は緻密ではレトロな雰囲気ですごく可愛いい。そして、1台1台に表情がある。「のろまなローラー」は60年代に出されたようだが、全然、色あせない良さがある。うちの子たちも大好きだ。

 「とべ! ちいさいプロペラき」は、ページをめくるたびにわぁ!と思う。ドキドキする絵だ。空港という空間自体がもともとワクワクするところだけど、それがすごく絵から伝わってくる。特に好きなのは夜の空港のシーン。(だいたいほとんどのページが空港なんだけどね)夜の格納庫でプロペラ機とジャンボが語り合う。私の記憶の中の夜の空港にピタッと来る!だからかな…。空港の夜景を見に行った時に見た、だだっぴろい滑走路の向こうに、ぼーっと光る街の灯り。その絵を見たとき何かキュンと来てしまいました。

 お話も、勇気を出して何でも思い切ってやっていいんだよ、と優しく励ましてくれるストーリーです。ま、うちのアニジャは今のとこ何でも自分はできると思っているようですが。それが全く持って手に負えない感じ…。へこむということを知らない…。その方がいいのか?

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2009年4月21日 (火)

田口ランディ「パピヨン」

 田口ランディさんの本を久しぶりに読む。彼女の本はほとんど持っているほど好きなのだが、「富士山」以来ずっと遠ざかっていた。子供が生まれて、あんまりハードなものを読む気になれなかったからかな。彼女の作品は、ほんわかムードの時はあんまり読む気しないみたい。逆に、辛すぎる時も読めなかったりするけど。

 ここ最近、無性に読みたくなって「キュア」と「パピヨン」を手に入れた。何となく、お父さんがガンで亡くなってそのことを題材に書かれているのは知っていたが、久々に「コンセント」とかの三部作を読んだ時のような、胸に迫るものがあった。実際にガンを患うお父さんに付き添った体験から得た、現代のガン医療についての問題、死に逝く人を看取るということ、そして生きること、死ぬこととはどういうことなのか?もっと、生き物として何故生まれて死んでいくのか、ということを地球上に生物が登場した時点から背負う宿命のようなものまで思いを馳せて描かれている。

 昔、ランディさんが、自分のエッセイか何かで、「背後に薔薇色の地球が透けて見えるような作品を書きたい」(うろ覚えなので定かではない…)と書かれていて、ハッとした事があった。確かに見えたのだ、三部作のどれかを読んだとき。そのエッセイを読む後なのか前なのか忘れたけど。それって、時間も空間も超えて、ものすごく高くて大きく優しい視点で、どうしようもない人間を見ているような感じ。

 「パピヨン」は、エリザベス・キューブラー・ロスとの出会いから始まり、偶然か必然か、末期のガンで余命半年と宣告された、お父さんの看取りの体験が綴られる。エリザベス・キューブラー・ロスが収容所で見た蝶を探す旅と、お父さんの死への旅立ちの物語が絡まりながら進んで行く。

 何故、今ロスなのだろう?と思って読み始めた。私も昔、ロスの「人生は廻る輪のように」「ライフ・レッスン」なんかを読んで、すごく感銘を受けた。彼女の事を知ったのは、立花隆氏の大作!「臨死体験」に出てきて興味を持ったからだ。ロスの「死の受容のプロセス」は、あまりにも有名で、自閉症の本にも、我が子の障害を受け入れる過程として応用されていた。

 「パピヨン」にも書かれているとおり、ロスは最終的に変人扱いされて、最後はグダグダな感じなんだけど、それが何だか人間らしくって好きだ。20代の頃、全然自分をコントロールできなくて、不安定でブレまくって、何で平常を保てないんだろ?!それは上がったり下がったりするメーターのようで、そう思ってた時にロスを読んで、何となく、あ、それでいいんだ!メーターそのものが自分自身なんだ!と、すごく腑に落ちたことがあった。

 ランディさんが、あのお父さんの死にどう向き合うのか、とても興味があった。常々エッセイなどの中で、嫌いだと公言して来たお父さん。それを私は、いつも共感を持って読んでいた。何故なら、何だか自分の父親と似ているから。正確が悪くて、癇癪持ちで、できればあんまりかかわり合いになりたくないようなタイプ。でも、そういう自分を、お父さん自身ももてあましていたのではないか、と書いている。その受け入れがたいお父さんを受け入れるという課題。

 あれだけ、死に逝く人に寄り添い、それを看取る人たちを勇気づけて来たロスだが、自分の死に対してはなかなか受け入れきれず、神への怒りを露にしていたらしい。でもそれは、怒りという感情も自分の持つ感情のひとつで、正直に表現して良いのだという主張だった。どうしても現代人は、周りの目を気にしてお行儀良くしてしまう。でも、自分を騙すことなく、人はありのままに生きていい、と。お父さんも、ありのままに生き、旅立っていかれたのだ。

 この本を書いている間中、ずっと普通とは違う意識レベルだったという。読んでいる私も、ずっとそんな感じだった。ランディさんの本は、そいういのが多いと思う。ただ単に物語の世界に浸るというよりも、自分の無意識に接続するような。この意識の旅を終えて、自分は近しい人たちの死を、どう体験するのか…。

 

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2009年2月13日 (金)

祝!つれづれノート復活!!

 銀色夏生 さんの「つれづれノート 」が、ついに復活!「第3の人生の始まり  つれづれノート15 」が出たので、さっそく読む!前回の14では、何となくこのまま宮崎にこもった生活しちゃうのかな〜、という感じで、しかも終了宣言が告げられ、そっかー残念だけどしょうがないと思ったが、今回はまたふっきれた感じで、更に新たな展開が!!まさに第3の人生の始まりなのです。
 銀色さんの色んな物事について感じたことが、いつものようにつづられるのですが、どんどん洗練され、凝縮されているような気がする。それにも増して、今回なんか冴えてる発言が多くて面白い!カンちゃんとさくぼうも、どんどん成長し、色んなことを考えるようになって来て、それに対する銀色さんの対応がいいんです。
 今回、ちょうど私も引越して(ネタバレ?)環境が変わって楽しさもあるけど、ストレスもいっぱいだったけど、同時進行的にこの本を読んでいて、前の環境が良かったなーと思いつつ、でも後戻りもできないし、そう言いながら徐々に慣れていく感じが同じで、励みになりました。
 ふと気付くと最後にブログ書いたの10月でした。あの頃、よークンが自閉症だと告げられ、ショックでしばらく現実感のない日々が続きました。とてもブログなんて気にもなれなかった…。それから徐々に現実を受け入れつつ、引越の準備やらで忙しく、いつの間にか年も明け…。久々に、更新することができました。色々書きたい事はいっぱいあるんだけどな〜。やっと、何とか生活できるようになってきたので、いっぱい書こう!
 私も、第?の人生が始まった!!焦らず気長に、毎日を一歩ずつ確実に歩んで行けたら…。(毎日のようにパニクってるんだけど。)
 「つれづれノート」ずっと続けてください!!

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2008年6月 8日 (日)

「なにもかも二倍」よしもとばなな

 またまた出ましたドットコムシリーズ最新版、「なにもかも二倍」。今回も、盛りだくさんの内容で、子どもの相手の合間に、ちびちびと読む至福の時を味わいました!

 中でも、ものすごーく励みになったのは、チビちゃんが仕事中に「オムツ自分で脱いで、ちゃんと捨てたよ!」とやって来て、「そこまでできるならトイレでしろよ…」と突っ込んでいる場面。う、うちと一緒だ…!うちのアニジャも同じなのだ!!最近ちょっとその事で頭を悩ませていたので、心底ホッとする。しかも年齢もちょうど今のアニジャと同じ頃!そんな事で感動してごめんなさいって感じだが。

 それだけではあんまりだが、やっぱり12月23日の日記。「文句言ってても仕方ないし、だったら産まなきゃ良かっただけで、何回もぐっとこらえて立ち上がるしかない…核家族のママたちはみんなこの気持ちを味わっているだろう。」私も一人になる時間が本当に少ないし、買い物に行け子どもが泣きわめき、イライラして早々に退散するはめになったり。全然気持ちに余裕なくって、ついつい怒鳴りちらしたりの毎日。でも、私も子どもがいて良かったと思う。産まなきゃよかった、とは一度も思ったことがない。 この日の日記は、ホント現在の私の育児に対する気持ちを余すことなく言葉にしてくれてます。読んだあと涙が滲みました。ありがとうばななさん!!だ。

 それと、憧れのアルジェント監督とご対面!!彼の名はよくエッセイに出てくるが、最初私は知らなくて、昔のエッセイに出て来た時、この人誰?外国のなんかアーティスト?って感じで通り過ぎた。でも何年か前、テレビでやってた映画を何気なく見ていたら、ものすごく惹き付けられて最後まで見てしまったことがあった。どうもそれはホラーのようだった。私はホラー映画は大嫌いで(怖いから)、ほとんど見ないのだが、その映画は独特の雰囲気と、何か懐かしさのようなものが漂っていた。で、クレジットを見てびっくり。アルジェントではないか!というか、アルジェント?何か聞いたことある。あ!映画監督だったのか!というわけで、その映画は「サスペリア」でした。その題名も、小学生の頃、はやったような気が。怖くてやだった…。

 その後、妙にホラーが気になり出し、アニジャがお腹のなかにいるのに、「ドーン・オブ・ザ・デッド」とか見に行ってしまいました。めちゃ、おもろかった。ばたーお勧めの「ゾンビ」もDVDで見たし。

 それにしても、ばななさんを形作っている色んな要素が、また小説として形になって、それを読んだ私がその要素の断片をキャッチした…のか?それとも、単に好きなものがひとつ一致しただけ?面白い現象だ。ばななファンが好きな感じが、何だか漂っているんだろうな。(13歳の頃、アルジェント監督の作品を見て救われた…と、書いてあったけど、どんな風に救われたんだろう…、気になる。) 新作、「サウスポイント」もぜひ読みたいな!

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