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2009年7月17日 (金)

「我、自閉症に生まれて」

 自閉症者が自身の体験を書いた本、と言えばドナ・ウィリアムズの「自閉症だったわたしへ 」が有名だ。私が自閉症に全くの興味を持ってなかった頃でも、題名だけは聞き覚えがあった。もちろん、よークンが自閉症かも?と思った時すぐに手に取ったのはこの本。確かに、ドナの体験は、自閉症の人だけではなく、定形発達の若い人にも自分とは何か?という成長期に訪れる疑問に共通するものがあると思う。だから、広く世界に受け入れられたのだ。

 テンプル・グランディンの「我、自閉症に生まれて」は、それより先に出版されていたようだが、私は最近になってこの人の存在に気付いた。タイトルを比べてもわかるように、ドナの方はいかにノーマルへ近づくか、という修行かと思える程の飽くなき挑戦を綴っているが、テンプル・グランディンは自閉症である自分を全面的に肯定して行く物語だ。

 彼女は、アメリカの畜産物取扱システム会社の社長で、全米の3分の1の食用牛が彼女が設計した機具で処理されている。彼女がその仕事を選んだのは、自閉症であったことに深く関係している。自分の独特の感覚を矯正するのではなく、それを活かして自分の天職を見つけたのだ。

 その道のりは、自閉症であるがゆえ厳しいものだったのだろうけど、母親や学校の先生達など、すごく周りの人たちのサポートが良くて、普通に考えたらおかしいと思われることでも、彼女のことを信じて色んなアドヴァイスをしてくれている。特に、このお母さんはすごい!お母さんの日記や精神科医へ宛てた手紙なども出て来るが、幼少期の手におえなさも伝わって来るが、娘のことをよく見て分析し、冷静に「ノーマルではない」ということを受け止めつつ、良い面を懸命に引き出そうとしている。「…自分の違いを誇りに思いなさい。人の世に貢献した人物は皆、どこか違っていて、その人生を孤高に生きました。」と、書いている。そして、テンプルはその通りに生きている。

 そういう生き方を、さらに追求し、自分以外の自閉症者について彼女なりに研究した本が、第二弾というべき「自閉症の才能開発―自閉症と天才をつなぐ環 」だ。こちらは、自分の特徴を含め、他の自閉症者や、それに関する研究を調査し、自閉症者の本当の姿を伝えてくれる。サヴァン症候群や、アインシュタインの話が出て来るけど、やっぱり天才と自閉症は紙一重なんだな、と思わせる。健常者の場合、脳の機能をバランス良く発揮する為に、個々の機能はある程度に抑えられているが、自閉症は一部は突出した能力を示すが、一部の機能はすごく弱い。それが、本当に人それぞれなんだけど。何かがものすごく得意、ということは他のことはてんでダメっていうのは、脳の作りがそうなっているのだ。

 さらに感動したのは、最後の章で、自身の宗教観についてふれている点。彼女は、プロテスタントの家庭で育ちながら、科学に対する追求を通して、次第にスピリチャルな概念に近づいてゆく。さらに、屠畜という仕事に関わる中で、宇宙と一体となるような経験をする。

 彼女の本は、このように自閉症者の立場から、自閉症について専門性の高い考察を示すとともに、自閉症者にも深い精神生活があることを教えてくれ、私のような自閉症児の親に、大きな希望と励ましを与えてくれる。すべての自閉症者が天才的能力を示すわけではないけれど、内面は普通の人と同じように豊かだと確信をもたらしてくれる。

 彼女は、輪廻転生を信じるが、生まれ変わってもまた、この自分に生まれたいと言っている。うちの子にも、自分を肯定する人生を送ってほしいな…。それには、やはり私たち周りのサポートが大事だな…。

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